研究内容

【グラム陰性桿菌における抗菌薬耐性機構の解析および迅速検出法の開発】

□■猛威をふるう薬剤耐性菌!

 細菌は2分裂で自らを増殖させる生物で、およそ30分に一回程度分裂を起こします。一日の間に48分裂、一年には17,520回分裂します。人間が一世代25年とすれば、その間には細菌は実に438,000回世代を更新しているわけで、人間で言えば、ほぼ哺乳類の発生と進化に匹敵するような時間であります。このように、細菌はすさまじい速度で進化をとげ、抗菌薬の使用からからわずか50年あまりで、実に多くの薬剤耐性菌が出現しました。これら薬剤耐性菌の拡大を防ぐため、また今後このような耐性菌を出現させないためにも、耐性菌の遺伝学的解析および臨床現場へのきめ細かな薬剤耐性情報の提供が重要です。我々の研究室では、様々な医療施設から収集した薬剤耐性菌の遺伝学的解析を行うとともにそれらの迅速検出法の開発も行っています。

 

【消毒薬抵抗性の解析や新規滅菌システムの開発】

□■高度先端医療の発展とともに出現した院内感染!

 高度先端医療の発展とともに多くの命が助かるようになり、今や日本は世界に誇る長寿国となりました。このような高度先端医療の恩恵を受ける一方で、医療現場では、多剤耐性緑膿菌や多剤耐性アシネトバクター属菌などの薬剤耐性菌による院内感染の発生など負の遺産を抱えることになりました。この院内感染を防止するためには、感染症専門医をはじめとする各領域のスタッフが一丸となって努力していくことが必要で、なかでも微生物検査室に働く臨床検査技師の役割は重要です。我々の研究室では、院内感染対策チームの一員としての役割を担えるような知識、技術の習得、具体的には消毒薬耐性機構の解析および新しい滅菌法の開発を行っています。